インタビュー

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【 この人 】

「商習慣変える」挑戦

2023年09月12日

熊本県トラック協会 下川 公一郎 会長

 6月、4期8年務めた住永豊武前会長からバトンを受けた。「取り巻く環境がこれまでにも増して厳しい時こそ、従来の商習慣を変える絶好の機会」と鼓舞する。
 約35年前の学生時代、父が経営する会社から業界を歩み出した。地場や長距離で横乗りし、ドライバーと共に手積み・手降ろしなど現場経験を培う傍ら、卒業間近に大型免許を取得。入社後はドライバーとして独り立ちし、事務職も担った。
 その後、熊本ト協青年部継運会に熱心に勧誘されて入会すると、同世代経営者とのつながりを得た。副会長、会長を歴任する中、青年部会九州大会が熊本で開かれた際に大役を担い、縁は県外に。さらに県ト協副会長に就き、次世代のリーダーとして頭角を現してきた。
 会長就任のあいさつで「運賃・料金の適正収受は一丁目一番地」と誓った。人材確保、賃上げなどに対し原資は絶対不可欠で、荷主との交渉が進展するよう土壌づくりに励む。ドライバーの残業上限規制に伴う2024年問題では、県内でも将来的な輸送力への危機感が高まっている。「まず物流が抱える課題を社会が広く正しく理解してほしい」と発信力の強化を掲げる。行政などあらゆる機関と手を組み、荷主を巻き込んで業界の底上げ、発展につなげる決意を固くする。
 切迫する軽油価格の急騰は、新型コロナウイルスの影響を乗り越えてきた会員各社にとって死活問題。県に8月1日、県内全市町村には7日に経営支援を要請し、迅速な行動でリーダーシップを取った。
 座右の銘は「敬天愛人」。地元をはじめ国内経済を支えてきた物流サービスを将来も維持できる姿を見据え、会長職を全うする覚悟だ。