インタビュー

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【 インタビュー 】

会員サポートさらに強化 安全・安心の環境目指し

2023年07月18日

CBクラウド 松本 隆一 CEO

 CBクラウド(本社・東京)は会員サポートを強化している。軽貨物自動車の事故が課題となる中、今春には、個人事業主だけで管理の難しい車両の予防整備サービスを開始。保険会社との協業で新サービスも検討している。松本隆一CEOは「会員が安全・安心に事業を行える環境づくりを支援していく」と話す。

 ―近年、事業用軽貨物自動車の死亡・重傷事故が課題となっている。
 松本 当社の配送プラットフォーム(基盤)を利用する会員の7割が、輸配送で中古車を利用している。走行距離が10万キロメートル超の会員が多い点にも注目し、車両の予防整備のサービスに注力する。
 ―具体的には。
 松本 今春から整備会社と連携し、定期的なメンテナンスやトラブル時の対応などを行う新サービスを始めた。車検や法定点検に加え、バッテリー交換、故障修理などを平均市場価格より安く受けられるのが特長で、会員の声を基に開発した。
 ―どんな要望が多かったのか。
 松本 会員の中には代替車両を持っていないケースも少なくない。車両の稼働が止まれば、ドライバーの生活だけでなく荷主の信頼低下にもつながる。安全を確保しつつ仕事に集中したいとの声を踏まえ、車のメンテナンスを丸ごと任せられるプランとした。
 ―保険でも手厚いサポートを目指す。
 松本 会員は現在、個別に貨物保険、自動車保険などに加入している。今後は保険会社と協業し、より業務実態に合った会員に寄り沿った保険サービスをつくることを検討しており、コストをはじめメリットを生み出すメニューを構築したい。

稼働時間のデータ分析

 ―事故防止のために軽貨物の働き方についてどう考えるか。
 松本 軽貨物運送は個人事業主が主で、さまざまな荷主から仕事を請け負っている。全ての運行を管理することは難しいが、当社の場合は業務開始前、独自のチェックリストによる飲酒の有無や接車時間といった注意事項の確認、アプリケーションで運行を把握できる仕組みを構築している。データを分析し、ドライバーの安全につながる手段を幅広く検討していく。
 ―顧客からドライバーを正しく評価する仕組みも重要に。
 松本 努力する会員が報われることを目指している。仕事を受けるスピードだけでなく、サービス品質や振る舞い、身だしなみも評価対象にできる。荷主がドライバーの付加価値を確認できる仕組みを導入し、これまでの評価方法を変えたい。

組むなら思いが同じ企業と

 ―CBクラウドのサービスの強みは何か。
 松本 マッチングにとどまらず、運行を支える仕組みづくりを徹底している。約60 人の部隊がドライバー、荷主からの質問を24時間365日体制で受け付け、案件別にマニュアルも整備している。医薬品、食品の知識を持つ社員もおり、さまざまな案件で対応できるノウハウが強みだ。
 ―事業拡大に向けて協業を進めるのか。
 松本 当社は単に人を大切にするだけでなく、収入、働き方、社会的地位の向上といった面から、ドライバーの価値を高めることを重視している。同じ志を持つ企業であれば、さらなる協業を検討し価値向上を進めたい。