インタビュー

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【 社長インタビュー 】

挑戦恐れない風土再び 失敗重ね成長の糧に

2022年03月15日

中越通運 中山 和映 社長

 中越通運(本社・新潟市)はさらなる成長へ、失敗することを恐れない風土づくりを推進する。「令和10年計画」でさらなる飛躍を掲げる中で、同社を現在の規模にまで拡大した挑戦の気概を、若い世代に継承していくことが重要になる。2月14日に就任した中山和映社長は「社員にはどんどん挑戦してほしい。失敗の経験が社員、企業の成長の糧になる」と話す。

 ―ひと月前に社長に就任した。
 中山 昨年秋ごろに具体的な話があった。父の中山和郎会長は最高経営責任者。私は最高執行責任者として、薫陶を受けながら、これからの成長に向けて若い世代の価値観、感性を取り入れていく。企業としての新たな挑戦でもあると受け止めている。
 ―自らの役割は。
 中山 中越通運は堅実で真面目なイメージが強いが、外部から、一般の人たちからどう見られているのか。物流のプロである社員が意識の部分で気持ち良く、自信を持って働くことができる仕組みづくり、雰囲気づくりに取り組むことが、全員が同じ方向を向き一致団結して伸びていくための最善の方法だと考える。

子どもに胸を張れる職場に

 ―県内で新しいテレビCMを流している。
 中山 一般の人たちに中越通運という企業を知ってもらうのが狙い。人材採用の意味合いもあるが、一番は社員の誇りやモチベーションアップにつなげること。例えば、お茶の間でCMを見た子どもにお父さん、お母さんが中越通運で働いていることを自慢できるような内容を意識した。
 ―CMにもあるブランドスローガン「できっこないを、解決しよう」に込めた思いは。
 中山 社員にはどんどん挑戦してほしい。みんなで何かを実現する場所が会社。設立から50年がたち成長を遂げてきた中で、ともすれば安定志向に陥りやすいが、世の中を見渡せば伸びている企業は積極的に投資している。多くの失敗を糧にさらに成長を遂げている。
 ―先輩、ベテラン社員の中にも失敗から成功のヒントを得た事例は少なくないかもしれない。
 中山 特にこれからの中越通運を担う中堅、若手世代には成功するための失敗を重ねてほしい。そして、ベテランから学べるだけ学んでほしい。挑戦に対し寛容な雰囲気を醸成していく。日々の業務をこなすだけで満足せず、挑戦を継続していくことが将来につながる。
 ―数値目標は。
 中山 令和10年計画では売上高300億円を掲げている。2021年12月期は213億円とコロナ禍で停滞したが、長期的にはさらに80億円超の積み上げを図る。社員一人一人の意識を変える取り組みとともに、新規事業のためのさまざまな種まきも始めている。

顧客と一緒に物流良くする

 ―サービスを深化させる。
 中山 顧客のことをより深く理解しているからこそ可能な物流改善に関わるプロジェクトを、顧客と一緒になって進めていける企業でありたい。長年の取引や培った経験を基礎に、若い人たちの挑戦や研究の成果も盛り込みながら、顧客に寄り添った提案を増やしていきたい。
 ―働き方改革については。
 中山 残業時間の削減や、年次有給休暇取得を含めた取り組みにも力を入れてきた。年間休日数や給与の在り方については、人によっても要望はさまざまだが、実現に向けては生産性の向上が欠かせない。生産性を向上させることで社員還元にもつなげ、働く人を幸せにしていきたいし、企業も発展させていきたい。

記者席 若い人の感性

 「時代に合った感性が必要なことを感じてもらえたのではないか」。新たなブランドづくりへ、中越通運で働く人たちがどんなふうに仕事と向き合い、何を目指しているのかを、内外に向け新CMで発信している。登場するのは、将来の中核を担う若い世代の社員たちだ。
 コロナ禍で物流の重要性に改めてスポットが当たる一方、業界を志望する若者が目に見えて増えたわけではない。「見られる立場を変えていきたい」との言葉の裏には、会社は決して経営層だけでつくるものではなく、ドライバーから事務に至るまで社員一人一人が参画してつくるものだという思いがある。
 「現場の経験もない。だが、初めから物流の世界に入らなかった結果、こうした発想ができるとすれば、かえって良かったと思う」