インタビュー

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【 社長インタビュー 】

強み受け継ぎ一層成長を グループ一丸で挑む

2021年11月09日

ロジネットジャパン 橋本 潤美 社長

 ロジネットジャパン(本社・札幌市)は昨年4月、設立以来15年社長を務めた木村輝美会長兼CEOから橋本潤美社長にバトンを渡した。「成長軌道に乗っている中でのバトンタッチ。会長が育てた企業の強みを受け継ぎつつ、橋本カラーを載せていきたい」(橋本社長)。2022年3月期が最終年度となる中期経営計画の売上高700億円、営業利益38億円の達成を目指す。

 ―木村会長からタスキを引き継いだ。
 橋本 九州にロジネットジャパン九州を設立し、文字通り全国ネットワークを確立した後の交代。成長の勢いを止めずに、一層の弾みをつけていきたい。

従業員への感謝を胸に

 ―コロナ禍でのスタートだった。
 橋本 絶対に止めてはいけない仕事と改めて認識するとともに、社員1人1人への感謝でいっぱいだ。特に流行当初は、皆が不安を抱えながら仕事をしていたはず。そのような中でも、物流企業としての使命を全うしてくれた。
 ―目標必達で報いる。
 橋本 22年3月期までの中期経営計画で掲げた売上高700億円、営業利益38億円以上に向けてしっかりと取り組みたい。上期は、前期スタート時に経済活動が停止した状況と比較すれば全般的に回復傾向と言えるが、コロナ禍の状況や天候、災害など不透明要素が多い。強みの幹線輸送サービスR&Rなどを本州で拡販していきたい。
 ―営業を東京に集中させている。
 橋本 他の地域の仕事であっても東京で話が決まることも多い。営業戦力を東京に集中し、3PLと幹線輸送を中心に全国での案件受注につなげる。
 ―北海道は、人口減少などの課題も多い。
 橋本 地域の生産性をどう向上するかを考え、効率を高める輸送改革を推進しているが、道内地方部では波動の大きい農産品の影響も大きい。どう輸送力を維持するかは今後の課題だ。
 ―一方でEC貨物は強みの1つへと育った。
 橋本 陸海空を活用した幹線輸送や倉庫など、ラストワンマイルにとどまらず全般的な業務が手掛けられるのが強み。宅配と共に、ワンストップで提案し、幅広い顧客に訴求したい。
 ―提案できる人材の教育が欠かせない。
 橋本 階層別の教育を実施し、コロナ禍でもウェブを活用して途切れずに続けている。少数精鋭の強みを生かすために、役員・管理職の持つノウハウの若手への共有も進めている。

3年で労働時間1時間短縮

 ―労働環境改善にも積極的。
 橋本 主要事業会社ではドライバーを含む従業員の所定労働時間を3年間で1時間短縮。また、奨学金の返済を補助する制度もこの4月に創設。従業員が仕事に集中できるよう支援している。
 ―事務改善も着実に進む。
 橋本 グループの事務作業を集約し電子化・効率化する取り組みを行っている。請求書や受発注を電子化するとともに、セキュリティーも高め顧客にも安心してもらえる体制づくりに努めたい。
 ―現場の安全対策もより高度に。
 橋本 ドライバーの品質安全教育のため、全国の約50拠点にモニターを導入した。点呼場所のそばに設置し、安全や品質に関する動画などを映すことで、全ドライバーに指示・指導を浸透させることが狙いだ。
 ―さらなる成長を目指す。
 橋本 中期経営計画の達成が第一だ。ただその先には次の成長が求められている。役職者がけん引し、社員が共に走る体制を構築し、次の世代までバトンをつないでいきたい。

記者席 男女は適材適所で

 設立以来15年、会社をけん引してきた木村輝美会長兼CEOからバトンを引き継いだ、業界では珍しい女性トップ。「注目されているのは理解している」
 ロジネットジャパンは女性社員が多く、管理職も珍しくない。「それぞれ得意な分野で頑張ってもらえばよい」とする。深夜の立ち合い業務などのある現場の管理職は安全面も考え男性が多いし、企画や事務は女性が多い。分け隔てのない視点で、会社の発展に必要な人材を登用する。
 入社してすぐに配属されたのが木村会長が当時指揮を執っていた部門。まだ会社に正社員の女性は少なく、手探りだった。それだけに、さまざまな立場の人が活躍する環境整備には何が必要か身をもって経験している。会社のさらなる飛躍に向け、全力を尽くす。