インタビュー

【 この人 】
理念守るため変化する

2021年08月03日
宇和島自動車運送 石田 稔 社長
11年ぶりに古巣に戻った。「青天の霹靂(へきれき)だったが、天命として誠意を尽くしたい」と和田祥孝前社長から5月、バトンを継いだ。
「地域の経済と共にいきる」という経営理念は不変の誓いだ。長年培った顧客との関係性は信頼へと成熟する様をあいさつ回りで改めて実感した。同時に、「お帰り」「久しぶり」と声を掛けられ感慨にもふけた。
一方で、「時代に即して変わらなければ理念を守ることはできない」と気を引き締める。念願だった四国中央支店(愛媛県四国中央市)が3月にしゅん工。2営業所を統合するとともに、倉庫を併設する新機軸を打ち出す。宇和島倉庫で得た10年分の経験を惜しみなく投入し、軌道に乗せる考えだ。
特積み事業への思いは人一倍。地元愛媛、四国をはじめ、社会を支える根幹だと自負する。だが、インフラを維持するため、適正な運賃・料金の収受は貫く覚悟だ。さらにドライバーの労働規制が強化される2024年に向け、取り巻く環境はますます厳しくなる。「顧客の期待と社会的使命を果たす限り、事業を継続することが願い」
人材の確保と育成に強い危機感を持つ。いち早く県内の高校に訪問するなど先手を打ってきた。自動車教習所を宇和島自動車グループが持つ強みを生かす検討を進める。「難しい課題を抱える業界だが、正面から着実に取り組むことで大きく飛躍する機会が生まれる」と決意する。
宇和島市に勤務した際、トレッキングに誘われ、地元クラブに参加した健脚の持ち主。再び山歩きしようとすると、息子から靴を贈られた。仕事に趣味にと装いも新たに挑戦する。