インタビュー

【 社長インタビュー 】
法令順守、固く誓う 元請けと両輪で健全に

2020年08月11日
西部運輸 横山 立 社長
元請けと共に全国の輸送網を支える西部運輸(本社・広島県福山市)グループ。長距離の輸送力が低下する中、保有車両台数は1500台を超え、存在感を示す。だが約1年前、子会社の関東西部運輸が法令違反が重なり事業免許が取り消される事態に陥った。横山立社長は「過去を教訓に法令順守を優先する体制を整えた。今後も元請けと下請けは両輪で、双方が健全に経営できるよう取り組む」と新生・西部運輸への決意を語る。
―グループだった関東西部運輸が2019年、事業免許の取り消し処分を受けた。
横山 当時、行政指導を受けて改善基準告示違反の改善計画を実施していた。一般紙などで書類送検が報じられると、従業員に動揺が広がり、退職が相次ぐなど当初の計画がはかどらず、拘束時間を抑制できなかった。行政指導の初期段階で立て直す機会は幾度もあったが、結果として事業免許の取り消しに至ったことは痛恨の極みだ。
―社内体制はどう変わったか。
横山 法令順守を経営の柱に据えて全グループ会社、全社員に徹底している。まず外部のコンサルタントを受け入れ、内部統制や監査で協力を仰ぎ強化した。各グループ会社の社長は一新し、管理と現場の距離を縮めて風通しを良くした。
―現場環境の改善は。
横山 顧客と交渉を加速し、法令順守できない運行の撲滅を図った。複数箇所での積み降ろし削減、定刻出発の厳守といった見直しを行い、担当者は同じ轍(てつ)を踏まないため撤退を含めた厳しい姿勢で臨んだ。取引先を失ったが、継続している運行については、法令面で何ら問題ない体制に生まれ変われたと自負している。
厳格な管理で持続的発展へ
―元請けの輸送網を維持する上で、下請けは欠かせない存在だ。
横山 元請けと下請けは両輪の間柄で、両者が健全で持続的に発展できる関係性でありたい。業界が抱える課題は各社共通で、運行管理、安全面の充実、人件費といったコスト上昇は避けられない。原資となる運賃・料金を適正に収受できる交渉を行い、WIN―WINで良好な関係を構築し、全国ネットワークの一翼を担う覚悟だ。
―長距離の輸送力が低下する中、果たす役割は大きくなっている。
横山 法令をクリアし、安定的な運行を実現することが肝要。例えば、主要幹線の関東―九州間では、いまや中継輸送が欠かせない。愛知県一宮市の東海西部運輸本社や、大阪西部運輸の神戸三田支店(兵庫県三田市)といった拠点を最大限生かす。荷役分離もさらに浸透させ、余裕のある運行を推進する。
早期に問題の芽を取り除く
―いかに継続していくかがポイントになる。
横山 グループ本部の安全指導部が主導し、「西部グループに任せれば法令を含め問題ない」と顧客から言われるまで磨き上げる。現在、グループで1580台を保有していることは強み。全車をシステムで管理し、連続運転、休憩など違反がないか日々確認している。月に1度、責任者が集まる会議で情報を共有し、早期に問題の芽を取り除くことを意識している。