インタビュー

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【 この人 】

造る側から使う側に

2020年06月09日

大和物流 木下 健治 社長

 年初に社長就任を打診された。「驚きはなかった。倉庫を造る側から使う側に。物流には伸びしろがあり、楽しみにしていた」。
 親会社大和ハウス工業の建築事業部で40年。営業畑を歩み、前職は同事業部の本店トップとして指揮を取った。普通なら3年ほどで異動になるところを13年務め、大和ハウス65年の歴史の中でも最長になった。
 成果が問われる事業所で先頭に立ち、従業員を鼓舞してきた。34歳の時、直属の上司だった樋口武男氏(現・会長)に説かれ、広島県福山市の事業所の責任者に就き、業績をナンバーワンにした。以降、岡山、福岡、大阪でも成果を上げた。
 経営で一番大切にしていることは「仕事をしやすい環境をつくること」。大和物流は2022年3月期の連結決算で売上高1000億円の目標を掲げるが売り上げに固執するつもりはない。新型コロナウイルスによる影響が見通しにくいこともある。「商売の基本は利益。日々状況は目まぐるしく変わる。朝令暮改も大いにあってしかるべき」
 大和物流は昨年、本社をリニューアルした。大阪市内中心部を貫く四つ橋筋に面する本社の設計を主導したのは木下氏。南から北へ一方通行の四つ橋筋を走る車から建物を見た時、より存在感が出るようファサード(正面)デザインを曲線にした。建築士の資格は持たないが、「図面は分かる。センスもある方だと思う」。
 細かなことは指図せず、基本は放任主義。従業員には「付いてきてほしい。〝きつい?のは見た目だけだから」と笑う。趣味はゴルフとヨット。好きな言葉は「人間万事塞翁(さいおう)が馬」。