インタビュー

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【 この人 】

現場目線で

2019年06月04日

濃飛西濃運輸 小森 紳司 社長

 4月、社長に就任した。1988年、グループ中核会社の西濃運輸に入社後、2年間は本社で勤務。以降の25年間は東日本の事業所を渡り歩き、物流現場の大変さ、大切さを学んだ。
 バブル経済のさなか、東京・八王子支店での8年は積み上がる荷物に身を粉にして働いた。4年勤めた世田谷支店では、都心ならではの配送の難しさに直面。狭い道が多く住民への配慮も欠かせない。顧客からの厳しい言葉が、自身を「成長させてくれた」と振り返る。
 2011年、東北エリア統括マネージャーとして仙台支店に勤務時、東日本大震災に遭遇した。西濃は他社に先駆け支援物資輸送を始め、震災発生から間もなく幅35mあるホームが支援物資で埋め尽くされた。多い日には1000人の被災者が物資を受け取りに仙台支店前に列をなした。
 中には、家族が行方知れずになった従業員も。それでも「荷物が到着したら全ての届け先に電話をかけていた。本当によく頑張ってくれた」。
 経営で大切にしていることは「現場の声をしっかり拾い上げること」。
濃飛西濃は主力の特積みで大型車の自社比率が9割超と高く、輸送品質に定評がある。一方、物流センター運営や医薬品物流といった特積み以外の事業の売上高も全体の16~17%に上る。「目新しいことにアンテナを張っている従業員が多い」。ボトムアップ型経営で風通しの良い社風に磨きをかけ、付加価値の高い事業を育てて「今後の飛躍につなげていく」。
 趣味は山登り。9年前から日本百名山踏破を目指し、44の山を制覇。昨年は標高が2900m超の西穂高岳登頂に成功した。山頂には「達成感と素晴らしい景色が待っていた」。