インタビュー

【 社長インタビュー 】
売上高100億円へ IT活用も積極推進

2018年10月30日
ダイセーロジスティクス 田浦 辰也 社長
ダイセーグループの中核企業の一つであるダイセーロジスティクス(本社・東京、田浦辰也社長)は、食品を中心に衣料、化成品など多様な荷物を扱う。平成31年12月期売上高100億円の目標に向け、積極投資を進めている。田浦社長は「IT(情報技術)を活用し、グループ・社員との絆を大事に目標達成に向けまい進したい」と話す。
――平成30年12月期の見通しは。
田浦 売上高98億~99億円で着地できる。31年12月期100億円の目標に向け、着実に進んでいる。来年4月には埼玉県幸手市で新センターを開設。さらなる売り上げの積み上げにつながると期待している。
――利益確保に苦しんでいる。
田浦 元請けの立場での受注が多く、届け切る責任を担っている。輸送力確保のためには、協力会社に対する値上げは不可欠。一方で、荷主に対する交渉は難しく、思うように利益を伸ばせていないのが現状だ。
――運賃・料金値上げの目標は。
田浦 2割を目指している。主要顧客の一つの大手食品メーカーとは、粘り強い交渉を続けているが、ラインから物流の仕組みを変えなければいけない部分もあり時間がかかる。新規取引の拡大で利益確保を図っている。
――新規取引は、適正料金収受への理解を得やすい。
田浦 新規顧客の衣料品メーカーなどは、改善への要求もシビアだが、その分必要なコストは収受できる。売り上げを拡大しつつ、既存荷主への依存を減らして収支を改善したい。同時に、データを基礎にした話し合いと書面契約を徹底する。
菓子共配でIT配車を導入
――IT活用で効率化も進める。
田浦 まず菓子の共同配送で、IT配車の導入を進めている。実証実験中で、来年1月から正式稼働する見込み。埼玉県杉戸、神奈川県相模原、大阪の各センターにまず導入する。
――効果は大きい。
田浦 瞬時に100通り以上のパターンを検討し、最適ルートをはじき出し、積載効率も向上するシステム。配車を誰でもできるようにすることで、現行の配車スタッフには、協力会社との信頼関係構築など、より人の力が必要な仕事に注力してもらえる。
――他のセンターでも研究中だ。
田浦 パンの配送を行っている千葉や横浜など5カ所のセンターでは別の方法で共同配車を研究している。まずGPS(全地球測位システム)を使った位置把握や労働時間時間管理をシステムで行いながらデータを蓄積し、AI(人工知能)による自動化につなげたい。
――急速なIT化は、現場の誇りを傷つけはしないか。
田浦 物流の本分は、顧客の求める時間に、求める場所に、求める品を届けること。実は、これが一番難しい。達成するには仕事に携わる一人一人の力が不可欠。皆が大切だということを伝えていく。
――技術だけでなく心の伝承を目指す。
田浦 何をやるかではなく、なぜやるかを追求して共有していく。その中で物流の魅力を発見し、社員や世間に伝えていければと考えている。
――展望は。
田浦 ダイセーロジスティクスは、グループの中では関東を中心に全国ネットを担う会社。来年1月には、沖縄での営業所開設も決まっている。今後は空白地帯である東北への進出を目指す。仙台ではなく、岩手県の北上のような内陸部で広範囲をカバーできないか検討中だ。
記者席 ダイセーイズムの継承
「田中孝一ダイセーグループ会長の精神を次代に継承していきたい」。ドライバーとして郷里の青森からやって来てダイセーロジスティクスに入社。「佐藤剛史ダイセーホールディング会長がセンター長時代に、会長の下で働いたのが始まり」。ダイセーグループの発展と共に成長してきた。それだけに会社への思いは深い。「企業理念に共鳴してくれる社員と、成長していきたい」。
自身も顧客回りなどで全国を飛び回り、会社にいることは少ない。現在は、傘下の実運送の機能再編を目指す。M&A(企業の合併・買収)後に、重複する機能や業務を整理している。「まだまだ会社は発展する。その力となっていきたい」。バスケットボールが好きで、審判の資格を持つ。