インタビュー

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【 社長インタビュー 】

チルド食品の共配に強み 平成20年の改革が原点

2018年08月28日

ダイセーエブリー二十四 田中 孝昌社長

 チルド食品の共同配送に強みを持つダイセーエブリー二十四(本社・愛知県一宮市)。田中孝昌社長は平成20年、売り上げ拡大の反動で利益が落ち込む体質を変えるため「ゼロからのスタート」を決意。教育手法を改め、現場の小集団活動を重視。売り上げと粗利を日々更新する日次決算など、さまざまな改革を断行した。今後はさらなる成長へ、株式上場も視野に入れる。

 ――直近の業績は。
 田中 平成30年1~6月期の売上高は前年同期比9.1%増の121億8500万円。一方、経常利益は人件費などのコストアップ要因があり同4.6%減の4億4600万円だった。通期では売上高が前期比9.0%増の251億2600万円、経常利益が同4.5%増の10億1400万円を見込んでいる。
 ――チルド食品の物流に特化している。
 田中 複数メーカーから商材を預かり、中部、関東、北陸、関西、中四国にある37の拠点間を幹線便で結んで、卸などの物流センターまで届けている。だからこそ、共同配送を広範囲で、短いリードタイムで行うことが可能になる。メーカー、卸から一定の評価があると自負している。
 ――急成長した。
 田中 社長に就任した12年当時の売上高は50億円弱だったが、8年ほどで倍の100億円になった。反面、急拡大のひずみでコスト管理ができない状態になり、利益率が落ち込んだ。荷量の増減に応じ、車も人もアコーディオンを操るように調整しなければならかった。ゼロからのスタートを決め、20年後半から改革に着手した。これが私の原点だ。
 ――どのような改革か。
 田中 経営手法をトップダウンからボトムアップに変えた。教育手法も抜本的に見直した。風通しの良い会社にするため、コミュニケーションを重視。上司と部下などが月1回、1対1で1時間の面談を行うワン・オン・ワンミーティングはいまも重要な施策だ。

日替わり班長と日次決算で

 ――日替わり班長制度も改革の一環。
 田中 そうだ。従業員を配送、作業、安全管理、傭(よう)車管理といったカテゴリーに分け、さらにそこから所属センター別、配送先別などに細分化してグループ化し、班単位で業務に当たらせている。班ごとに粗利、品質、勤務時間管理など点数化する仕組みもある。
 ――日次決算には驚く。
 田中 これも改革の一環。売り上げと粗利の実績を日々更新する。特に拠点間を行き来する幹線便の売り上げとコストを割り出すのは大変な仕事だが、外部の人間に頼ることなく、全て自前でシステムを構築した。数字は社内の人間なら誰でも見られ、班ごとで毎日チェックし、現場の改善に役立ててもらっている。

さらなる成長へ上場も視野

 ――拠点増強の計画は。
 田中 西日本を強化したい。関西では7月、京都府城陽市に大型センターを開設した。今後は大阪と神戸、さらに中国地方は広島、九州は福岡と熊本辺りにも拠点がほしい。東日本では来年度、関東で4拠点目となるセンターを埼玉に構える。
 ――運賃・料金改定も進めている。
 田中 おととしから本格的に始めた。人手不足と時短への対応でコストアップは避けられない。強気の交渉を行ってきたが、顧客離れにつながった事例はない。
 ――ダイセーグループは来年、50周年を迎える。
 田中 当社のさらなる飛躍には、株式上場も必要だと考えている。成長への選択肢にM&A(企業の合併・買収)があるが、上場と非上場では資金だけでなく、得られる情報の質も量も変わる。

記者席 顧客ニーズを追い求め

 「規模拡大ありきではない。顧客ニーズを追い求めた結果、いまがある」
 これが田中社長のスタンス。例えば年に3回ほど発行する「主要納品先一覧」。21回目改訂版では主要納品先783カ所を掲載した。日本列島に納品先を記したマップ、幹線便の運行表、巻末の索引を含めて約80ページ。
 納品先センターが卸かコンビニのものなのか。幹線便がいつセンターを出発し、納品されるのか。これら情報が一目で分かるよう改良を重ねた。住所、電話番号も併記。顧客に好評で、メーカーや卸が「営業ツールとして使ってくれて」と笑顔。
 健康法はランニング。週に3回、5kmを走る。好きな言葉は「One for all,All for one」。高校時代は甲子園出場を目指して野球に没頭。「肩は強かった方だと思う」