インタビュー

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【 社長インタビュー 】

働きやすい職場、追求 5期連続で増収増益 

2017年09月26日

関東西濃運輸 羽鳥 義雄 社長

 下期の踏ん張りで、平成29年3月期も増収増益とした関東西濃運輸(本社・群馬県安中市)。荷物事故防止や、足繁く荷主訪問し運賃適正化に取り組んだ努力が実を結んだ。「運賃の要請は一巡したが、値上げ幅が不十分なケースもあり今期も交渉を展開する」と羽鳥義雄社長。大型自動洗車機を3店所で新規導入するなど、従業員の労働環境改善も継続させる方針。
 ――29年3月期は5期連続の増収増益に。
 羽鳥 年明け頃まで苦労したが、2~3月で巻き返した。売上高は前期比1・6%増の347億2100万円、営業利益は同4・1%増の10億7300万円。収入面では運賃値上げや新規獲得、燃料サーチャージのほか、重量物や遠方配達にかかる料金の適正収受に注力。利益面では経費節約に加え、軽油価格の若干の下落が寄与した。
 ――貸し切りやロジスティクス部門も堅調。
 羽鳥 前橋、本庄など各支店に流通加工も行える大小の倉庫を構え、延べ保管面積は1万8000㎡超。満床状態で喜ぶべきだが当社はトラック運送が主体。出荷頻度の高い荷物を増やしていく必要も感じている。
 ――収益力と合わせ、労働環境も改善が進む。
 羽鳥 一昨年度までフォークリフト、ハンドリフト、台車の導入を推進してきた。作業しやすくなり効率化も図れた。また本社併設の高崎支店では不要になった建物を撤去し、帰庫時、構内に入り切らなかった集配車の待機場を確保。積み降ろし作業の効率化で残業も1時間ほど短縮できた。

大型洗車機を新規3台導入

 ――今期も働きやすい職場づくりに取り組む。
 羽鳥 古河、宇都宮、北茨城で新たに大型自動洗車機を導入する。これで、全20店所のうち導入が必要な13店所に大型洗車機が行き渡る。ドライバーの負担を和らげたいとの思いから、以前は自動洗車機を使用する際に大型で300円、小型で200円もらっていたのを無料にした。久喜では自家用車の駐車場を店所のそばに用意し、構内の作業性を高める。
 ――待遇も改善。
 羽鳥 従業員のモチベーションアップへ、利益に応じた給料・賞与の上積みを実施してきた。今夏の賞与でも入社3年目の人が驚くような金額を出した。それでも現状、ドライバーが定員に届かない。残業・拘束時間の管理徹底など、環境改善を一層推し進めるとともに、そのために必要な原資の獲得に努めていく。
 ――今期の営業策は。
 羽鳥 新規荷主獲得、既存荷主のシェア拡大、遠方配達料の収受やかさ物・重量物運賃の補てんといった適正収受交渉を引き続き展開。個人向け宅配運賃については、最低でも1個当たり600円に引き上げたい。大手各社が値上げに動く中、当社への輸送依頼も増えている。見極めて対応しなくてはならない。
 ――ロジ部門でも料金適正化を進める。
 羽鳥 従来料金は坪貸しのみだったが、電気・水道料金、火災保険料の負担もお願いしている。

好業績と車両事故ゼロ目標

 ――目標は増収増益。
 羽鳥 売上高は351億4000万円。目標は計画の達成と6期連続増収増益だ。セイノーグループスローガン「継承」の下、「お客様目線」で「心をつかんで心をつなぐ」サービス提供を目指す。
 ――事故も減らす。
 羽鳥 この数年、大きな車両事故は起きていない。人身事故も労災事故もどちらもゼロ件を達成するべく、担当部署、全役員による店所指導を改めて強化していく。

記者席 評判の良い会社

 「会社の評判をもっと良くしていきたい」。設備投資による作業環境の改善はもとより、賃金・賞与を通じ従業員への還元にも努めてきた。「面接で伝えた職場の良さを入社した人が本当に実感できるように。評判が評判を呼び、人が集まる職場になれば」
 足元では、長距離ドライバーを中心に退職者の補充が追い付かず、人手不足の状況。ウェブ広告やハローワーク、社員紹介制度も使って、良質な人材を募る。
 増収増益を続け、社長就任以来の業績は勝ち越し。今期も新たな勝利に向けて「4~7月は売上高、利益ともに順調な滑り出し」を見せる。収益力、労働環境、安全性、品質。それら全てを追求する姿勢が企業の魅力を高め、より多く人が集まる職場になる日が待ち遠しい。(矢田 健一郎)